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成長の不足分を補給しよう


 問題解決の思考プロセス

 

  • ュー3
 ステップ1 なにが問題か考える

 ステップ2 重要問題を選んで「問い」を立てる
         (?疑問文で)

 ステップ3 解決アイデアを発想する

 ステップ4 解決アイデアを評価するものさしをつくる

 ステップ5 「ものさし」を使って評価する

 ステップ6 実行計画をつくる


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ステップ1 なにが問題か考える

 

問題解決のステップ1は「なにが問題かを考える」。

「なにが問題かに気づけば、問題は半分解けたようなもの」とよく言われる。

いろいろなことが交じっていて、問題はひとつではないはずだ。表面的な問題ではない、根底の問題がとらえられれば良いのだが、そのために、まずは広めに気になったところを挙げよう。

 

一言で言うと

ケーススタディ=問題シーンに関して、自分はなにが問題だと思うか。気づいた問題を多目に(8個としよう)挙げる。

 

なんでこうするか?

・重要な問題の見落としが起きないようにするため。

・ステップ2で、自分が取り組める、できるだけ重要・本質的な問題に絞る。ここはそのための準備の段階と考えよう。

 

 

どうやるか

問題シーンを読み、自分の知識、そしてネットや本も動員。友だちと議論しよう。

ここで問題を述べるときは2つの方向がある。@問題シーンがそうなっている原因を掘り下げる、A問題シーンで起きていることの結果・影響を掘り下げる。両面から考える。

 

問題の発想のために、「カテゴリー・リスト」を使うと良い。カテゴリー・リストの「健康」から連想される問題はなにだろう?「生活・経済」上の問題はなに?と、自分の見落とを気づかせてくれる。

 


文型

問題を書く文型は、「・・・・・ので、・・・・・だ(かもしれない)」

1 自分が断言できないことは、「かもしれない」が語尾につく。

 

2 なぜそれが問題か明らかに分かるように、「・・ので」が書かれること

 

 

 

例1

ファストフード業界は健康的なイメージの広告やメッセージを多く流すので、子どもは食品の情報について正しく判断することがむずかしくなっている

 

例2

マクドナルドが赤字になったことがあるくらいファストフード業の経営は競争がはげしいので、濃い味、砂糖味など癖になりそうな味をつくることに一生懸命で、それが子どもの肥満など不健康につながっているのかもしれない。

 


 

 

ステップ2 重要問題を選んで「問い」を立てる (?疑問文で)

 

挙がった問題(8個)のなかから自分が取り組む重要問題を1つ選び、「出題文=問い」形で書く。

学校の勉強では、先生からハッキリとした「問い」が与えられるが、問題解決の場面では、この「問い」を自分に対して自分で立てることが求められる。この「問い」は、問題解決を最後まで導く羅針盤になる。

 

一言で言うと

ステップ1で8個あがった問題から、解決したい重要問題を選び、問題解決の思考が促進されるように、「問い」(疑問文で)を立てる。

 

なんでこうするか?

・たくさん問題があるが、全部はできないし、解決の努力をどこかに集中したいから。

・問題が何なのか、理解があいまいなまま考えをスタートしていることがけっこうある。「あれ、何の問題だったかなあ」ということも。これでは正しく速く問題解決できないから。

 

ステップ1の文(・・・ので・・・かもしれない)は問題がありますと言っているだけで、自分たちが「なにをどのように解決したいのか」のステップ2の問いの文になっていない。

・次のステップ3に行ったときに、目的(解決によって、得たい、到達したい結果)と動詞(取り組むこと)の範囲内で考えを巡らせば良いので、脱線を防げる。

  

どうやるか

「問題解決に大きく貢献する重要な問題か」「自分には、その問題にこたえる関心や知識があるか」を基準にして、重要な問題を選ぶ。

・今選んだ問題解決は何を目的と考えるか、そして、何をどう取り組むかを問う(疑問文で)。

 

 

文型 

・背景:○○○○なので

ステップ1で挙がった8つの問題の中から、あなたが選んだ1つの問題を書き入れる。

・目的:△△△△にするために

「こうなって(あって)ほしい」願い、目指す理想の状態を書く。

・取り組み:どのように××××するか?

「××××」にどのような動詞を入れるかによって取り組みの方向性が決まる。

 

 

例 

1

ファストフード業界は健康的なイメージの広告やメッセージを多く流すので、子どもは食品の情報について正しく判断することがむずかしくなっているので、

子どもが、健康な食生活をおくれるようにするために、

社会は、子どもをどのように守ったらよいか?

 

例2

病気の多い高齢者と違い、子どもはとても元気であるために、食品に気をつけなければと思えないので、

子どもが、食とからめて自分の健康の問題を考えることができるために、

どのような刺激を子どもに与えたらいいか?

 


 

 

ステップ3 解決アイデアを発想する

 

ステップ2で問題を解決するための「問い」を立てた。ステップ3では、その「問い」に対する答え=解決アイデアを発想する。創造性を働かせよう。

5W1H文型でアイデアを掘り下げて書くと、アイデアの内容がハッキリしてくる。つぎのステップ4、5でベストアイデアを選びやすくなり、問題解決プロセスの最後にあたるステップ6で、説得力のある実行計画を作成しやすくなる。

 

一言で言うと  

ステップ2で立てた問いに対して、多様で、オリジナルな解決アイデアを発想し、5W1Hの文型で書く。(8個)

 

*オリジナルであるとは

・まれであること。とくにその年齢においてめったにないこと。思わず、「オオオオ!」「面白いなあ」「なるほど!」「オイオイ! まったく聞いたこともないぞ」と驚き、感心してしまうこと

・質が高いこと。直感がするどくはたらいていること。だれも気づかなかった観察があって、それをもとにしていること

 

 

 

なんでこうするか?  

アイデアをたくさん思いつくことができれば、そのなかにすぐれたアイデアが含まれる可能性も高まるから。

・人は1つアイデアを思いつき、それが正しいとこだわる、悪いクセがあるから。

 

 

どうやるか

・ブレーンストーミングで、自由に発想する。

・ステップ2の「問い」に対する解決アイデアを発想する。

・どういう内容かがわかるように具体的に書く。特に、アイデアがなぜ問題の解決ができるのが、読む人がわかるように書く。

・解決アイデアが、ドラエモン的(なんでそうなるか説明できないこと)で終わっていないか、世の中の大切な考え方やルールに反していないか考えよう

 

 

文型 5W1Hの文型

アイデアの中身を掘り下げて書くことが求められ、未来問題解決プログラムでは「5W1H」を意識して書く。

What(ホワット)=なにを」

Who(フー)=だれが」

*さまざまな主人公を立てるような、バラエティのあるほうが面白い。

Why(ホワイ)=なぜ」

How(ハウ)=どのように」

When(ホェン)=いつ」

Where(ホェア)=どこで」

 

 

例 

子どもが食べることができる食品を法律で定める

→ 栄養の専門家の意見を参考に、厚生労働省が、すべての食品を月に何回までなら食べても健康に悪くないか、回数順に分け、食品に「許される回数シール」を貼ることを義務づける法律を定める。「許される回数シール」は2年ごとに見直しをおこなう。こうすれば、専門家の認めた知識が「許される回数」で表されることになるので、食品をつくる会社も納得できるし、また、子どもにも分かりやすく健康情報を伝えることができる。

 

 


 

ステップ4 解決アイデアを評価するものさしをつくる

    

 

ステップ4では、たくさん発想した解決アイデアのなかから、ステップ2で立てた「問い」をいちばんじょうずに解決できるアイデアを選ぶための「ものさし」=アイデア選択基準、をつくる。

自動車の運転にたとえれば、ステップ3は、とにかく多くのユニークな解決アイデアを発想するためのアクセル思考であったのに対して、ステップ4とこのあとのステップ5では、アイデアを選抜するブレーキ思考。

 

一言で言うと

・重要問題を、もっともうまく解決できると思うアイデアを選ぶための、ものさし(基準)を5つ、つくる。

 

なんでこうするか?

・たくさん(8つ)挙がった解決アイデアを比較し、その中からベストを選びたいから。

・「ものさし」が5つあれば、ほとんどの場合、どの解決アイデアがもっともすぐれているかをより正確に判断することができるから。

 

 

どうやるか

・「問い」をもっともよく解決するアイデアを選べる「ものさし」をつくるのだから、ステップ2で立てた「問い」をもう一度確認する。すぐれたアイデアとはどんな基準を満たすものなのかを考える。

・制約条件も考える。目的、取り組みを達成しようとするとき、「費用」、「時間」、「社会が守るべきルールやマナー」など踏まえる必要があるもの。

・「ものさし」は、それがよい解決アイデアかどうか、評価できるように具体的に書かれていること。具体的でない「ものさし」をつくってしまうと、ステップ5「ものさし」による評価がやりにくくなる。

・「どの解決アイデアが、もっともお金がかからず、短時間で実現できるか?」という1つの「ものさし」に複数の基準を入れない

・いつも同じ「ものさし」をつくるのは、よい問題解決方法とはいえない。その問題にしかない背景や目的、取り組みをじっくり考えた「ものさし」を思いつくこと。

 

 

文型

 

どの解決アイデアが、もっとも□□□□□□か(するか)?

 

 

 

「どの解決アイデアが、子どもの健康に悪い食の情報をもっとも少なくすることができるか?」 

 


 

 

 ステップ5 「ものさし」を使って評価する

 

ステップ4で解決アイデアを評価するための「ものさし」を5つつくった。ステップ5では、それらの「ものさし」を使って各解決アイデアを評価し、それぞれの「ものさし」による評価点を足し合わせて、合計点がもっとも高かった解決アイデアを、「問い」をもっともじょうずに解決できそうなアイデアとして選ぶ。

 

一言で言うと 

・「ものさし」を使って解決アイデアを評価し、5つのものさしの合計点で、もっともよいと思う解決アイデアを選ぶ

 

なんでこうするか?  

・多面性をもつアイデアの選択はむずかしく、決めることをためらうことが多い。直感的にエイヤーと決めるのではなく、5つのものさしによる評価をきちんと行い、納得感のある結論を得たいから。

・数字化する方法は、判断をシャープに、またチームの議論を明確にすることができる。

 

どうやるか

 

・横に5つの「ものさし」、縦に8つの解決アイデアを並べた、解決アイデア評価表をつくる。

・5つの「ものさし」を使って、それぞれの解決アイデアを評価し、評価点を書き込む。

・評価順位に応じて、最高点8点、最低点1点で点数をつける

・根拠が見当たらず、評価がすぐにできないときは、必要な調査をする。

5つの「ものさし」の評価点を足し合わせ、合計点のいちばん高かった解決アイデアを選ぶ。

 

ものさし1

ものさし2

ものさし3

ものさし4

ものさし5

合計点

アイデア1

 

 

 

 

 

 

アイデア2

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例1

「健康的な食習慣について、子ども自身が考えながら判断できるような教育を学校がおこない、調理実習などをするときには、親にも積極的に参加するよう呼びかける

食習慣についての子どもの判断力を向上させることは、悪質な情報を減らすことと同じ効果がある。また、悪質な情報にひっかからない人が増えれば、食品業界は広告や宣伝のあり方を考え直すので、悪質な情報は減るだろう。

→「ものさし」に対する評価点 8点

 

例2

「自分が健康的な食事をしているか診断してくれるホームページをインターネットにつくる

→このホームページを見た人に対しては効果があると思われるが、見ない人には効果がない。しかも、ホームページを見る人の数はそんなに多くはないだろう。

→「ものさし」に対する評価点 4点

 

例3

「近所の人からの通報にもとづき、調査をおこなった上で、子どもの健康的な食生活に配慮しない親を罰する」

→親を罰しても、世の中に出回る食に関する情報の量や質は変わらない。

「ものさし」に対する評価点 1点

 

点数をつける注意

点をつけるときに、しっくりしないという気持ちを持つかもしれない。どの解決アイデアも、「満点」のアイデアではないと感じるかもしれない。しかし、最高の8点をつけることをためらわれても、ほかのアイデアよりはすぐれているときは8点をつける。

ただし、どのアイデアも8点の評価をつけられないようなら、それらの解決アイデアはいっそうの改善を必要としているのかもしれず、よりよい解決アイデアを考える努力をする。




ステップ6 実行計画を立てる

 

ステップ5で選ばれたベスト・アイデアを実行に移すための、くわしい計画を立てるのが、ステップ6。

思わず「やってみたい!」と周りの人に思わせるような、アイデアが実現される様子が想像できるような実行計画を作りたい。また、計画の実現がさまたげられる可能性についても考え、対策も盛り込む。

 

一言で言うと  

選ばれたベスト・アイデアを実行するための計画をたて、実行をさまたげるものを突破する計画を立てる。

 

なんでこうするか?  

・「ステップ2で立てた『問い』はこうすれば解決できる」と具体的に思えるため。

・単なるアイデアから脱した、実行計画とするため。

 

 

どうやるか

どう計画を進めるか、順序は、本当に実現できるか、問題解決ができるのはどういうことだからか、力を貸してくれるのは誰か、反対に回るのは誰か、立ちふさがる障害は何? 考慮しておくべきマイナス作用は、そのときはどう対策するか、考える。

 

・これを具体的にするために、5W1Hを頭に置いて書く。

だれ だれが計画を実行するのか? だれがこの計画から影響をうけるのか?

なにをどのように なにをどのようにおこなうのか?

なぜ なぜこの計画で「問い」を解決できるのか?

いつ いつこの計画がおこなわれるのか いつ計画の結果が出るのか? いつまで計画は続けられるのか?

どこ どこで計画が実行されるのか?

 

 

例 実行計画

(問い)

ファストフード業界は健康的なイメージの広告やメッセージを多く流すので、子どもは食品の情報について正しく判断することがむずかしくなっているので、子どもが、健康な食生活をおくれるようにするために、社会は、子どもをどのように守ったらよいか?

 

(選んだ解決アイデア)

健康的な食習慣について、子ども自身が考えながら判断できるような教育を学校がおこない、調理実習などをするときには、親にも積極的に参加するよう呼びかける

 

だれが計画を実行するのか?

・子ども自身/保護者/学校の先生/子どもの「食育」に関心を持つ地域の人びと

 

なにをどのようにおこなうのか?

・食べる必要がある食品など、栄養についての基本的なことを理解する授業

・自分が健康的な食生活を送っているかどうかを考える習慣を身につける生活チェック

・子どもの家事能力を高める訓練と実践

・年に1回、家庭の食事コンテストをおこなう

(「どのように」は、くわしく書かれていない)

 

なぜこの計画で「問い」を解決できるのか?

・健康的な食習慣について学校でたくさん深く学ぶことができれば、子どもたちも、自分の健康を自分で守れるようになるだろう。

・学校での授業に保護者も参加してもらえれば、家庭でも健康的な食習慣について子どもと話す機会が増えて、食事も健康的なものに変わるだろう。

・学校の授業で調理実習を多く取り入れれば、子どもが自分で食事をつくれるようになるので、親がいそがしくても、健康的な食習慣は守れるだろう。

・学校で食についてたくさん学ぶことができれば、子どもも大人も「賢い消費者」になるので、食品業界もごまかすようなことができなくなり、社会に出回る食品が健康的なものに変わっていくだろう。

 

いつこの計画がおこなわれるのか? いつ計画の結果が出るのか? いつまで計画は続けられるのか?

・1年後にスタートし、2年間つづけて、子どもの食事内容が健康なものに変わるかどうかチェックする。その結果出た見直し点をよく考え、実行計画を練り直す。

 

どこで計画が実行されるのか?

・この計画の考え方に賛成してくれる地域の学校で。

 

 

計画の実現をはばむいろいろな可能性

「食品の栄養素などを理解する」「子どもの家事能力を高める」について

栄養の知識や調理法などの知識が知識のままで終わり、日常生活に活かされない恐れがある。

習ったことを反復練習する習慣や機会が少ないから。

このことの対策として

子どもの食生活をチェックし、なにをどのくらい食べたかを計算する。これを1年間にわたっておこなうことで、自分の食生活を自分で管理する習慣が身につける。

 

 




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