中学生が意見交換を楽しめる学習をと思います

誰にも遠慮せず書く「自ら新聞創刊の13歳」の訴え

連載

「日本中学生新聞」を発行する中1が考える、学校と日本の民主主義とは中学生がSNSで「社会の疲弊」を実感した出来事

「日本中学生新聞」を一人で立ち上げ、注目を集めている少年がいる。現在、中学1年生の川中だいじさんだ。2023年4月に開始したX(旧Twitter)のフォロワーはすでに1万8000人を超え、新聞や週刊誌など大手メディアの取材も受けている。「中学生がつくった民主的な読み物」と銘打った自身の新聞のモットーは、「誰にも遠慮することなく 書きたいことを書く」。12歳にして自らメディアを作るに至った経緯や、中学生として今求めていることなどを、13歳になって間もない川中さんに聞いた。

2024/01/27

東洋経済education × ICT編集部

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会話も校内掲示も、「政治の話」を禁止された小学校時代

――川中さんが「日本中学生新聞」を立ち上げたきっかけを教えてください。

いちばん大きかったのは、小学4年生のときに「政治の話をするな」と学校で叱られたことです。

2020年に大阪都構想が持ち上がり、僕の地元である大阪市内でも議論が活発になっていました。あちこちでチラシが配られていたし、テレビで討論会の特集が組まれていたのを覚えています。自分の住む街に直接関係があることなので、僕もとても興味を引かれました。そこで調べてみたら、2015年にも都構想をめぐって住民投票があったこと、そのときは自民党と共産党が「共闘」して反対していたことなどがわかりました。僕は、この2つの党は仲がよくないと思っていたので、意外でしたがいいことだと思いました。

ほかにも、前回は反対派だった公明党が2020年は賛成に転じていること、公職選挙法に縛られる普通の選挙とは違うこともわかって、単純に「面白いなあ」と思ったんです。それで学校でも、友達とその話をするようになりました。みんな地元のことだから興味を持っていて「俺は反対だな」とか、自分の意見を持っている子も少なくなかった。でもその会話を聞いた先生に、「学校でそんな話をしてはいけない」と怒られたんです。

――その件で、家にも電話がかかってきたとか。

はい。先生が僕の親に電話をして、「次に政治の話をしたら、校長室に呼びますよ」と。それで親に叱られることはなかったけれど、僕自身が納得できなかった。話すのがダメならと学校の新聞委員会に入ったのですが、そこで「選挙に行こう」と呼びかける新聞を作ったら、これも政治の話だからと校内掲示してもらえませんでした。だから結局、自分で作るしかなくなったんです。

当時は「小学生である僕には、先生に対抗する手段はないのか?」と悩み、それについても調べました。そうしたら「子どもの権利条約」第12条の意見表明権というものがあるとわかり、これを先生に話してみたんです。でもあまりピンと来なかったようで、抗議が聞き入れられることはなかった。振り返れば、あの悔しさが今につながっているので、ある意味これもよかったと考えるようにしています。

2023年3月に創刊した「日本中学生新聞」の紙面(左)。国会議事堂へも見学に出かけた(右)

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「意見と文句の違いがわかっていない人がすごく多い」

――今はちょうど2号目を制作中とのことですが、新聞の発行を始めて変わったことはありますか?

応援してくれる人は多いし、大阪・関西万博やIRカジノなど、僕が関心を持っていることについて教えてくれる人も増えて、うれしい出会いがたくさんありました。新聞の配布は大阪市内での手渡しがメインですが、書店に置いてもらったり、東京や北海道の人の要望を受けて郵送したりと、読んでくれる人も増えています。

そもそも僕が新聞を作ったのは、昨年開催されたG7広島サミットにメディアとして取材に行きたかったから、というのが大きな理由でした。結局「学生だから」「法人じゃないから」という理由で申請すらさせてもらえませんでしたが、そこから実際に活動を始めて強く感じたのは、日本社会がどれだけ疲弊しているかということでした。

――サミットの取材は許可されなかったのですね。しかし「社会の疲弊」とは?

例えば僕は今、大阪・関西万博とIRカジノに興味を持っています。これも都構想と同じく、自分の街のことでもあり身近なことです。万博は次世代のためにやると言っていますが、僕ら子どもが本当に求めていることってこれなのかな? とちょっと疑問に感じています。

僕自身は、クルマが空を飛ぶ社会よりも、近所の商店街がずっと元気で活気があるような、あたたかい社会のほうがいいと思う。肉屋のラードで揚げたコロッケが胃もたれするけど好きやねんとか、そういう顔の見える社会です。でも今の社会はそうではないのかなと、たくさんの大人からの誹謗中傷で「社会の疲弊」を実感しているんです。意見や批判と、単なるアンチ、文句や悪口の違いがわかっていない人がすごく多いんだと思います。

――悪意のある声を寄せる人たちにはどう対処されているのでしょうか。

基本的には気にしないようにしていますが、それでも傷つかないわけじゃない。疲れたときにはドラえもんの大長編映画を見たりして癒されていますが(笑)、僕に文句を言っても社会は変わらないのに、そうせずにいられないのはなぜだろうと考えます。重要なのはどっちの意見が正しいかではなく、議論を重ねていいところを組み合わせていくことで、よりよい社会にしていくことだと思います。アンチは議論を生まないし、だから主権者教育(市民教育・シティズンシップ教育)が大事なんだと改めて思うようになりました。

――主権者教育は選挙権年齢の引き下げもあって、現在ではほとんどの高校で行われるようになりました。

僕は高校生からでは遅いと思っています。学校でも「欧米って学校のルールを生徒が決められるらしいよ」「そういうのいいよな」などと友達と話したりしますが、じゃあ今の学校で何ができるかというと難しい。小6のときに学んだ公民も、議員定数などのシステムをさらりと学んだだけで物足りないと感じました。これじゃ政治も民主主義もただの暗記でしかなく、わがことにはならないなと。義務教育のうちから、しっかり学ばせてほしいと思っています。

「政治にハマっている」から、無関係だとは思わない

――学校生活の中で、主権者教育や民主主義について考える機会はありますか?

僕の学校は半期に1度生徒会選挙があるのですが、前期は、生徒の声を学校に届ける「意見箱」を設置するという公約で生徒会長に立候補して当選しました。でも後期は落選してしまった。主権者教育の大切さを伝え、校則をみんなで決められるようにしようと訴えたのですが、演説後、友達に「応援はしてたけど、難しくて何を言ってるのかよくわからなかった」と言われました。

実際に生徒会長を務めてみて思ったのは、学校の権力はやっぱり先生にあるんだなということ。上からの指示には従わなければいけないし、先生方も新自由主義的な教育で育っているから、大変なのはわかります。これについては政治が悪いと思う。でも、今の学校はみんなが意見を言える場所ではないと思います。最終的に多数決で決めるとしても、自分と違う意見も尊重することで誰もが発言しやすくして、議論する過程が大切なのではないでしょうか。僕は友達とも積極的に議論するようにしていますが、それは文句や否定ではないし、議論することでけんかしたり仲が悪くなったりすることはありません。

――今は友達と政治の話をすることもあるのですね。

先生に怒られることはなくなりましたが、友達に「知ってる政治家はいる?」と聞いても、岸田首相と吉村大阪府知事ぐらいしか知らないんです。大阪市長はテレビに出ていないから知らない、と。選挙前になると、18歳とか20歳とかの若い人が「どうせ変わらないし、関係ないから投票には行かない」などとインタビューに答えているのもよく見ます。関心が低いんですよね。

僕は趣味などやりたいことはとことんやりたいし、負けず嫌いなところもある。そういう性格もあって、言い方が正しいかわからないけれど、小4のあのときから政治に「ハマっている」んだと思います。

――なるほど。だから興味を持ち続けられるし、自分に関係ないと思わずにいられるのですね。まず関心を持つことが大事だと思うので、「ハマっている」というのはいいと思います。

そうですか(笑)。プロ野球だと、選手のカードや名鑑があるじゃないですか。仲よくしてくださっているフリーライターの畠山理仁さんもよく言っているのですが、ああいうものの政治家バージョンがあってもいいと思うんです。おもちゃメーカーさんにはぜひ作ってほしい。

政治はそれくらい身近であってほしいし、無関心でいられても無関係ではいられないものです。選挙権のない僕ができることとして、「投票に行こう」という呼びかけもしています。

――そうした呼びかけのほかに、今後取り組んでいきたいことはありますか?

今いちばんやりたいのは、国会会期中に傍聴に行くこと。学校があるので難しいのですが、いつか実行したいです。それから政治家の方にも取材してみたい。去年の12月に菅直人さんに取材依頼を出したのですが、武蔵野市議の補選でお忙しかったみたいで、取材はできませんでした。維新政治のことや世襲制についても聞いてみたかったです。

僕はまだ中学生だし、たくさんの人との出会いや議論の中で勉強させてもらっている真っ最中。いろいろな意見に触れながら、この先もできることを考えて行動していきたいと思います。

(文:鈴木絢子、写真:川中さん提供)

二重国籍

引用:朝日

二重国籍認めない日本 ロバート・キャンベルさんにはどう見える?

有料記事フォーラム聞き手・新屋絵理2023年7月20日 7時30分

 日本と外国、二つ以上の国籍を持ってはだめなのか――。国境を越えた活動が当たり前になりつつある今、国内外の日本人から二重国籍を認めるよう求める声が上がっています。二重国籍を原則認めない日本の法律は、海外出身者からどう見えるのでしょうか。米国籍を持つ日本文学研究者のロバート・キャンベルさんは、現在の法制度が「国に富をもたらすのか」と疑問を投げかけます。

 ――日本国籍がないことで、これまで困ったことはありますか?

 「本業の研究者としての立場から言うと、日本国籍がないことで何か制約を受けたことはほぼありません。永住権を持っていれば、日常生活でしようと思うことは大体できます」

 「ただ、選挙で投票ができません。これまで学生を指導し、新聞やテレビで社会情勢の解説をし、ほぼ全ての省庁の有識者会議に関わってきました。未来をみんなと一緒に考えているのに、投票をせずに『責任を果たせていない』というじくじたる思いがあります」

 「人種的に『日本人』ではないのは自明ですが、外国人だという自覚もありません。日本国籍を取っていないほうが不自然だと自分では思っています」

 「それなら日本国籍を取ればいいと思われるかもしれません。でも、僕はアメリカ国籍を持ち、日本で生きる者として言論に関わっている。アメリカ国籍を放棄する積極的な理由が見いだせません。法律的な次元では問えない、内心の問題です」

数字に表れない損失や配当があるはず

 ――二重国籍を認めていない日本は、キャンベルさんからどう見えますか。

 「二重国籍を認めるかどうか…

参考=法令

日本国憲法 第十条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

国籍法(出生による国籍の取得)第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

(帰化)第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。

第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。 引き続き五年以上日本に住所を有すること。順良であること等、続く。

第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が十八歳に達する以前であるときは二十歳に達するまでに、その時が十八歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。

国籍の選択について

1.国籍の選択について

 日本の国籍と外国の国籍を有する人(重国籍者)は,一定の期限までにいずれかの国籍を選択する必要があります(国籍法第14条第1項)。  
 また,この期限を徒過してしまった場合であっても,重国籍者はいずれかの国籍を選択する必要があります。国籍法上,期限内に日本の国籍の選択をしなかったときには,法務大臣は,国籍の選択をすべきことを催告することができるとされており,催告された方は,催告を受けた日から1か月以内に日本の国籍の選択をしなければ,原則としてその期間が経過した時に日本の国籍を失うこととされています。

  • 国籍選択の流れ(概要)

2.国籍の選択をしなければならない人

 重国籍となる例としては,一般に,次のような場合があります。
 ただし,外国の法制度は変更されている可能性がありますので,外国の法制度を確認したい場合は,当該外国に行っていただくとともに,国籍の決定は,その国家の専権事項とされていることから,ある方が外国国籍を有するかどうかの確認も,当該外国に行ってください。

(1)  日本国民である母と父系血統主義(注1)を採る国の国籍を有する父との間に生まれた子(例:生まれたときに,母が日本国籍,父がクウェート国籍の子)
(2) 日本国民である父または母と父母両系血統主義(注2)を採る国の国籍を有する母または父との間に生まれた子(例:生まれたときに,父(又は母)が日本国籍,母(又は父)が韓国国籍の子)
(3)
 
 日本国民である父または母(あるいは父母)の子として,生地主義(注3)を採る国で生まれた子(例:生まれたときに,父母が日本国籍であり,かつ,アメリカ,カナダ,ブラジル,ペルーの領土内で生まれた子)
(4) 外国人父からの認知,外国人との養子縁組,外国人との婚姻などによって外国の国籍を取得した日本国民(例:生まれたときに母が日本国籍で,カナダ国籍の父から認知された子)
(5)
 
 国籍取得の届出によって日本の国籍を取得した後も引き続き従前の外国の国籍を保有している人
 

(注1)父系血統主義とは,その国の国籍を有する父の子として生まれた子に,その国の国籍を与える主義です。
(注2)父母両系血統主義とは,その国の国籍を有する父又は母の子として生まれた子に,その国の国籍を与える主義です。
(注3)生地主義とは,その国で生まれた子に,その国の国籍を与える主義です。

日本人、民族、国籍・・楽しそうなテーマ

引用

二重国籍認めない日本 ロバート・キャンベルさんにはどう見える?

7月20日

 日本と外国、二つ以上の国籍を持ってはだめなのか――。国境を越えた活動が当たり前になりつつある今、国内外の日本人から二重国籍を認めるよう求める声が上がっています。二重国籍を原則認めない日本の法律は、海外出身者からどう見えるのでしょうか。米国籍を持つ日本文学研究者のロバート・キャンベルさんは、現在の法制度が「国に富をもたらすのか」と疑問を投げかけます。

 ――日本国籍がないことで、これまで困ったことはありますか?

 「本業の研究者としての立場から言うと、日本国籍がないことで何か制約を受けたことはほぼありません。永住権を持っていれば、日常生活でしようと思うことは大体できます」

 「ただ、選挙で投票ができません。これまで学生を指導し、新聞やテレビで社会情勢の解説をし、ほぼ全ての省庁の有識者会議に関わってきました。未来をみんなと一緒に考えているのに、投票をせずに『責任を果たせていない』というじくじたる思いがあります」

 「人種的に『日本人』ではないのは自明ですが、外国人だという自覚もありません。日本国籍を取っていないほうが不自然だと自分では思っています」

 「それなら日本国籍を取ればいいと思われるかもしれません。でも、僕はアメリカ国籍を持ち、日本で生きる者として言論に関わっている。アメリカ国籍を放棄する積極的な理由が見いだせません。法律的な次元では問えない、内心の問題です」

数字に表れない損失や配当があるはず

 ――二重国籍を認めていない日本は、キャンベルさんからどう見えますか。

 「二重国籍を認めるかどうか…

オランダ、労働問題の討論会から(朝日2000年代初めの)

Bard23/7/26 オランダの2023年の今日、経済の状態は良好です。 2022年のGDP成長率は約5%と、EUで最も高い成長率を記録しました。2023年のGDP成長率も約3%と、EUで2番目の高い成長率が期待されています。

オランダ経済の特徴は、以下の通りです。

  • 貿易立国であり、輸出がGDPの約80%を占めています。
  • 農業が盛んで、世界有数の農業輸出国です。
  • 製造業が盛んで、世界有数の化学工業国です。
  • 金融業が盛んで、世界有数の金融センターです。
  • 教育水準が高く、人材が豊富です。
  • オランダの現在の失業率は2023年1月時点で3.1%です。これは、2022年1月時点の失業率3.2%から0.1ポイント下がった数字です。オランダの失業率は、2014年1月時点の7.9%から低下し続けており、2019年1月時点には4.9%まで低下しました。しかし、2020年3月に発生したCOVID-19の感染拡大の影響で失業率が上昇し、2020年12月時点には6.8%まで上昇しました。その後、オランダ政府の経済対策やワクチン接種の進展により、失業率は低下し、2023年1月時点には3.1%まで低下しました。

オランダの人口は2023年1月1日現在で17,321,661人です。そのうち、外国人は1,451,806人(8.4%)です。外国人の出身国は、トルコが最も多く、次いでドイツ、マレーシア、スペイン、イタリア、インドネシア、モロッコ、ベルギー、ポルトガル、フランスです。

AIに聞きました。オランダは、ワークシェアリングの大国と言われています。現在でも、ワークシェアリングの重視の考えは、オランダ社会で変わらないのでしょうか?

はい、オランダはワークシェアリングを重視する社会です。ワークシェアリングとは、1つの仕事に複数の人が分担して行うことで、雇用機会を創出する仕組みです。オランダでは、1980年代に失業率が高まった際に、ワークシェアリングが積極的に導入されました。その結果、失業率は低下し、現在ではオランダはワークシェアリングが盛んな国の一つとなっています。

オランダでワークシェアリングが重視される理由は、いくつかあります。まず、ワークシェアリングは、雇用機会を創出することで、失業率を低下させることができます。また、ワークシェアリングは、労働者のワークライフバランスを改善することができます。さらに、ワークシェアリングは、企業のコスト削減につながります。

オランダ政府は、ワークシェアリングをさらに推進するための政策を実施しています。例えば、政府は、ワークシェアリングを行う企業に補助金を支給しています。また、政府は、ワークシェアリングを行う企業の労働者に税制優遇措置を講じています。

オランダのワークシェアリングは、今後もさらに拡大していくことが期待されています。ワークシェアリングは、オランダの経済成長と社会の活性化に貢献することが期待されます。

ここから朝日の討論会の抜粋。

久場嬉子さん、龍谷大学経済学部教授:失業率12%から今は2%にまで下げた、大変成功した、成功したがゆえにいろいろと問題が出てきたという、ウォルフレンさんがおっしゃった点、私も聞いています。

「コンビネーションシナリオ」、これは男女機会均等と、正規の短時間労働、=パートタイマーの創出とを結びつけようというシナリオ。

有償労働と子育て・介護等の無償労働」とを今までのような性別分与の形ではなく、男女がなるべく均等に公平な形で担い合う、「コンビネーションシナリオ」の1つの大きな狙い。

仕事人間、仕事一筋の形で働く「男性型ブレッドウイナーモデル」これが成り立たなくなる(男性稼ぎ主 (male breadwinnerモデル)。

パートタイム労働を導入する意味を失業を減らすという問題だけではなく、新しい働き方を作り出す。

90年代の中ごろに出てきて、今日2000年代初め、に至るまでその充実がさらに図られているシナリオを、日本でどういうふうに参考にして生かしていったらいいか。

いわゆる「家族責任を持った労働者」、それがワークシェアリングの新しいベンチマークである。それを1人ひとりがただ単純に抱え込むというのでは、何のことはない、そうではなくて、福祉国家のケア保障、豊かな最低賃金法で守る、保育園を整備する、労働時間を短縮する労働時間政策、総合的に組み合わせて、だれもが今はケアから離れていても、長いライフサイクルの中でいつかは何らかの形のケアないしは再教育、再訓練に直面する、それらを働き方と一緒にうまく組み合わせて両立させていく。それが、これからの労働者像であり、欧州連合の社会的保護システムなのです。「コンビネーションシナリオ」は、まさにそれを目指しているのだと私は思います。

 日本も、いよいよ「ブレッドウイナーモデル」を見直そうと、経済諮問審議会では、特別配偶者控除の縮小を考える。第三号被保険者も見直す。話題が出てきているわけです。「個人化」を目指していくということ。私はここはウォルフレンさんの先ほどのお話と異なるのですが、高齢社会を乗り切れなくなるのではなかろうかと。

大國昌彦日経連副会長:

そこでワークシェアリングですが、ワークシェアリングとは「ダイバーシティー」の変形としてますます中心的なものになってくるだろうと思います。これは、日本が高齢化してくることで労働人口がなくなってくるという、世界と全く違う状態の中で、日本は何としてもいろいろな人が働けるようになければならない社会がもうすぐそこに来ている。

 ところが、今はまだ失業率が高い。この数年間を大勢雇うということで済ませたら、労働者が足りない時代がすぐ来る。そこではどういうふうに取り扱うかが大きなテーマになるのではないかと思います。

ワークシェアリングとはパートタイマーと同じ時間給というようなことをオランダではやっているように聞いていますが、日本の高度成長を支えたのは日本の労働者でした。これらの主力は裁量労働をやっている人たちです。現場の作業員といえども、知恵を出す仕事を一緒にやっている。そういう人たちを簡単に時間給で割り振ってだれかを入れてくるなんてことはとてもできない。

今、新たな転換の時代が来たことはもう間違いありません。従来の企業は、正規従業員だけを見ていればよかった、労働組合も正規従業員だけを見ていればよかったという時代は過ぎ去っていく。パートあるいは下請けというような人たちにも社会のシステムで何か保護をする、あるいは一緒に考えるものができなければいけない。しかし、日本の社会は非常に大きなインナーシェアを持っている。

龍井葉二、連合総合労働局長:

 もう1つは、これはちょっとお話しにならなかった点ですが、いわゆる「合意システムモデル」だということ。これは「労使」「政労使」と一口に言ってしまうと、簡単に「ワッセナー合意」とかと言われますが、そこに行きつく歴史的な伝統も含めて、政府主導ではなくて労使がきちんと合意システムを作っていく、それが結局、わが国の場合を振り返って考えると、なかったわけではないが、あまりにも企業内合意に収斂し過ぎていて、「社会合意」が見失われていた。結果的に広がっていただけの話で、作ってこられなかった。

 昨年10月、連合と日経連はそういう問題意識で「社会合意宣言」を結んだのですが、それはそういう手始めの一歩だと思っています。その場合、ではなぜ、そういう連合・日経連が遅ればせながらこういう議論に踏み込んだかと言うと、「もうこれ以上もたないぞ」という非常に危機的な状況の共通認識があったわけです。

何のことはない、「男女雇用機会均等」と言っていながら、仕事と家庭のバランスはアンバランスのほうに向かっている。もう社会も企業も持続可能ではない、そういう所に来ている。

その場合に、ワークシェアリングですから、だれとだれが何を分かち合うか。

 端的に言って、普通はこれは働いている人、仕事に就ける人が、仕事に就けない人と分かち合うことを言うわけですが、日本の場合は、今申し上げたように、働き過ぎの人と仕事に就けない人との分かち合い、そういう事態なわけです。

 ですから、入り口としてまず我々自身の働き方自身を見直さないと、そこを放っておいたまま、片や不安定パートしかないという選択肢では展望は開けてこない。

今、「ダイバーシティー」という話が出たのですが、では、だとしたら今進んでいる非典型労働者が増えているのが「多様化」であり、ワークシェアリングかというと、全然違うだろうと思います。

オランダの場合にはよく言われますように、「働き方の就労形態による差別」ではない、労働時間による差別は時間比例のみに限定すべきだということです。

「同一価値労働・同一賃金」というルールがある所であれば当たり前のことなのですが、同じ「パートタイマー」と呼ばれて皆さんに誤解されては困るのは、オランダの場合は「正社員が短時間で働いている人のこと」を言うわけです。それ以外の人は「フレックスワーカー」と言うわけですよね。もう概念が全然違う。

もうそういう正社員中心、企業労使中心という枠から組合自身がどれだけ自己改革を図っていくか、そこに我々自身が問われている。

久場よしこ:

ワークシェアリングを定義通り、1人当たりの労働時間を短縮して社会全体の雇用を作っていく、そういうワークの分担・再分配だととらえると、そういうワークシェアリングは高齢社会でこそ要請される。明らかなのは、女性であれ男性であれ、若年者であれ高齢者であれ、あるいは国籍にこだわらず多様な働き手が一緒になって支えなければ、もうどうしようもないということ。それは本当にしっかり見えているわけです。

そうすると、1つはサービスへの需要が高まりますね。ただ、家庭の中で子育てするだけでなく、公共サービスとして教育であれ子育てであれ、そういう形のサービスを充実しなければいけない。やはり働き手1人稼ぎ手モデルに見られるように、男性中心のそこにだけ資源も時間も集中させるようなモデルは合わない。

龍井:

別の言い方をすれば、「食えれば」という大前提がつくのですが、「何で8時間がスタンダードなのか」と。6時間で食えればそれに越したことはないですよね。

続く

日本の社会経済的停滞理由に関する重要なポイント

ビデオニュースは、2000年代前半の「winny事件」を再び取り上げた。winny開発者金子勇氏が逮捕され、日本のIT開発にブレーキがかかった。日本の警察。・検察・裁判所の判断、古臭く間違った判断と言われる。

この時期は、日本経済が大きく落ち込み、その後2023年の今日まで停滞が続いていく。日本の賃金水準は落ち込み、スイスの経営大学院による世界の経営ランキングが大きく低下を続けた。日本の経済停滞を考えるポイントとして、日本の司法とそれを取り囲む社会の判断力の貧しさ・古い利権性を挙げている。バブル崩壊とともに研究を続けたいポイントだ。

戦後の世界経済の膨張を実現した米国中心の金融循環システム

ケインズ予言。新国際制度に世界黒字再循環装置(Grobal Surplus Recycling Mechanism:GSRM)を搭載すべきだ。特定の国々に制度的黒字が、他国に恒久的赤字がそれぞれ過剰蓄積されるのを防ぐため

引用